ファクタリングとは、自分の売上債権を早期に現金化することでキャッシュフローなどを改善する手法です。季節的な変動に巻き込まれて資金繰りが難しくなってしまった場合や、突然の大量受注に急遽キャッシュが必要になった場合などに力を発揮します。
このファクタリングですが、もし売上債権先の企業が協力してくれれば非常に有利に取引することが出来るのです。
この手法を3社間ファクタリングといいます。3社間ファクタリングとはどのようなものなのでしょうか。
ファクタリングの使い道
ファクタリングとは売上債権を早期にキャッシュに換え、キャッシュフローなどを改善させることが出来る手法です。しかし、この便利なファクタリングですが計画性もなしに使うことは非常に危険なことがわかっています。
なぜなら、このファクタリングには手数料がかかってしまうからです。つまり、例えば、3か月後に100万円が支払われる売上債権を、来週中にファクタリングで現金化したいという場合には、だいたい20%程度の手数料を取られてしまいます。
つまり、実際に手に入る売上の8割ぐらいの金額しか手に入れることが出来ません。このファクタリングが常態化してしまうと、売り上げが20%ずつ削られて言ってしまうことになります。ファクタリングが常態化しているということは、多くの場合資金繰りに苦しいということになりますが、ファクタリングを続けるということは結局売り上げを目減りさせてしまっているということです。

そのため、ファクタリングは常態化しないように、長くても3ヶ月連続程度に抑えておくことが良いといわれています。ただし、大手企業からの契約を競合他社から引きはがすのに成功したときや、半年後1年後のリスクテイキングが見えていて設備投資に大きく手を入れたいときなどは積極的に利用したほうが可能性が広がる場合があります。
ファクタリングとは一見すると資金繰りを手助けしてくれる守りの戦術手法のように見えますが、実際はここぞというときに出してくる攻めの戦術手法といえるかもしれません。
ファクタリングの手数料を抑える
ファクタリングの手数料は20%前後であるという話をしました。これでは、銀行融資などのほうが、よほど利率がいい計算になるという場合も大いにあるでしょう。この手数料を引き下げる方法はないのでしょうか。
手数料を引き下げる最も確実な方法は3社間ファクタリングを活用することです。3社間ファクタリングとは、自社とファクタリング会社だけでなく、売掛債権を作った企業にも協力してもらい、ファクタリングを行うという手法です。
この手法を利用することで、ファクタリング会社としてはリスクをかなり回避できるため、手数料が非常に安くなります。
だいたい1%~5%程度にまで抑えられるはずです。中には、0.5%など、ほとんど手数料がかからないのではないかともいえる金額設定をしているファクタリング会社もあるほどです。
3社間ファクタリングと2社間ファクタリングの違いについて
一般的に使われる2社間ファクタリング、つまり、自社とファクタリング会社だけで契約が終わるファクタリング手法と、3社間ファクタリングの手法はどのように異なっているのでしょうか。比較しながら見ていきましょう。
まず、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングではファクタリング契約自体の手順も異なっています。2社間ファクタリングの場合はこのような流れになるでしょう。
① 自社がファクタリング会社に申し込みをする
② ファクタリング会社が審査を行う
③ 審査が終わり次第、ファクタリング会社から手数料を引いた額が自社に振り込まれる
④ 売上債権のお金が自社に振り込まれる。
⑤ 振り込まれたお金をファクタリング会社の口座に自社が振り込む
このような手続きを行うことで、売上債権先の会社に情報が流れることを防ぐことが出来ます。2社間ファクタリングの最も重要な点は、キャッシュフローに不安があることを他社に知られることなく資金調達を行うことが出来るという点でしょう。
一方、3社間ファクタリングについては以下のような流れになります。
① 自社が売上債権先の企業にファクタリングを行う打診を行う
② 売上債権先の企業がファクタリングを行うことを了承する
③ 自社がファクタリング会社に、3社間ファクタリングの打診を行う
④ ファクタリング会社が審査を行い、ファクタリング会社から自社へお金が振り込まれる
⑤ 売上債権先の企業がファクタリング会社に売上債権分のお金を振り込む
売上債権先の企業が関わると、お金の動きが大きく変わってくることがわかると思います。特にファクタリング会社への支払い方法は注目すべきです。ファクタリング会社にとってしっかりと売上債権先の企業からお金を振り込んでもらえるということは、非常に大きな信頼であり、結果として手数料が下がるといえるでしょう。
3社間ファクタリングのメリットとデメリット
まずは3社間ファクタリングのメリットについて、様々な角度から見ていきましょう。ファクタリングを行いたい企業にとって、最も大きいのはやはり手数料ですが、他にも売上債権先の企業との信頼関係の醸成に繋がるといった側面もあります。
キャッシュフローが厳しいなどの消極的な理由ではなく、販路拡大やチャンスをつかむための先行投資のファクタリングであれば、売上債権先の企業にとってもビジネスチャンスとなる可能性もあるため、話がうまくいくということはよくあることなのです。
また、ファクタリング会社にとっても3社間ファクタリングは、2社間ファクタリングに比べて安心できることがいくつもあるため、審査が甘くなったり、お金が振り込まれるまでの期間が速くなったりする場合もあります。
3社間ファクタリングが出来るだけの信頼が出来上がっている企業があるということは、自社にとっても非常にメリットがあるといえるでしょう。
ただし、本当にキャッシュフローが厳しいなどの理由によるファクタリングの場合に3社間ファクタリングを行うことは非常に危険といわざるを得ません。
キャッシュフローが厳しい、資金調達が厳しいといったことを取引先に伝えることは、会社の体力がなくなってきていることを露呈することにもつながるため、その後の積極的な関係構築に影を劣ることは十分にあり得ます。
また、資金調達を行う上では、やはり一般的には銀行融資などを利用するわけで、こうした王道を利用せずにファクタリングを行うということはどういうことなのだろうかと、痛くもない腹を探られる危険性があるのです。3社間ファクタリングは、手数料が安いなどのメリットはありますが、同時に今までの商売の姿勢や取引先との信頼関係などが問われる非常に難しい取引といえるでしょう。
3社間ファクタリングまとめ
2社間ファクタリングに比べてメリットもデメリットも大きい、3社間ファクタリングについてみてきました。資金調達というのは経営者にとっては非常に難しい仕事といえます。
今までの経営姿勢ややり方、あるいは会社の歴史や経営者としての生きざまなども見られているかもしれません。そういう意味でも、3社間ファクタリングを気兼ねなく提案できる取引先を作っておくというのは、資金調達という理由以上に重要なことではないでしょうか。ぜひ、この機会に、今までの取引先の信頼関係について考えてみてもいいかもしれません。
最後に3社間ファクタリングと似ている医療ファクタリングも紹介しております。合わせて読んでおきましょう。
